
Oracle DatabaseのEEとSE2を比較。ライセンスの種類や機能の違いとは
『Oracle Database(オラクル データベース)』は、リレーショナル型(※)のデータベースシステム(RDBMS)として幅広い業界・職種で活用されています。
展開されているエディションには『Enterprise Edition(EE)』と『Standard Edition 2(SE2)』の2種類があり、価格や機能に違いがあります。
この記事では、Oracle DatabaseのEEとSE2の概要やライセンスの種類、機能を比較する際のポイントなどについて解説します。
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※データを列・行で構成された表形式(テーブル)で格納・管理するデータベース
目次[非表示]
Oracle DatabaseエディションのEEとSE2について
Oracle Databaseのエディションには、2つの種類があります。
Enterprise Edition(EE)
Enterprise Edition(以下、EE)は、企業や組織向けに提供されている最上位のエディションです。高いパフォーマンスや拡張性、高度なセキュリティが備わっており、提供されるすべての機能を利用することが可能です。
▼EEの特徴
- CPUの制限がない
- パフォーマンスや可用性の向上、セキュリティ強化などに役立つさまざまな機能を利用できる
- 有償オプションの追加が可能 など
Standard Edition 2(SE2)
Standard Edition 2(以下、SE2)は、手ごろな価格で基本的な機能が備わったエディションです。シングルサーバ環境から小規模な企業、分散された部署・支店などでの活用に必要な機能が含まれています。
▼SE2の特徴
- 最大CPU数は2ソケット
- 1インスタンス当たりのCPUスレッド数は最大16
- 小規模かつ分散されたシステム環境に対応
- 上位互換性の確保によりEEへの拡張がしやすい など
Oracle Databaseのライセンスの種類
Oracle DatabaseのEEとSE2では、それぞれ2種類のライセンスが用意されています。ライセンスの種類によってカウント方法や価格が異なります。
➀Named User Plus(NUP)
Named User Plus(NUP)は、使用するユーザー数に比例したライセンスです。Oracle Databaseをインストールするサーバに「何人がアクセスするか」を基準にライセンスを算出する仕組みとなり、ユーザー数が限定される場合に適しています。
▼Named User Plus(NUP)ライセンスの価格(税抜)
EE |
SE2 |
|
ライセンス本体価格 |
147,250円 |
54,250円 |
初年度サポート |
32,395円 |
11,935円 |
なお、同時接続数やクライアント台数などはユーザー数にカウントしません。
※2024年9月1日時点の日本オラクル株式会社の公式情報を参考にしております。
②Processor
Processorは、Oracle Databaseをインストールするサーバのプロセッサ数に比例したライセンスです。不特定多数のユーザーが利用する場合や、ユーザー数が変動する場合などに適しています。
▼Processorライセンスの価格(税抜)
EE |
SE2 |
|
ライセンス本体価格 |
7,362,500円 |
2,712,500円 |
初年度サポート |
1,619,750円 |
596,750円 |
※2024年9月1日時点の日本オラクル株式会社の公式情報を参考にしております。
EEとSE2の機能を比較する際のポイント
Oracle Databaseのエディションによって利用できる機能は大きく異なります。機能を比較する際のポイントには、主に以下が挙げられます。
▼EEとSE2の比較
EE |
SE2 |
|
可用性 |
〇 |
Oracle Fail Safeのみ利用可 |
スケーラビリティ |
〇 |
Oracle Real Application Clusters、自動ワークロード管理が利用可 |
パフォーマンス |
〇 |
✕ |
セキュリティ |
〇 |
✕ |
管理者の支援機能 |
〇 |
インスタンス・ケージングのみ利用可 |
➀可用性
データベースの可用性を確保する機能や利用できるオプション機能に違いがあります。Oracle Databaseの最上位エディションとなるEEは、可用性を向上させるための機能が充実しています。
▼EEで利用できる可用性確保のための主な機能
機能 |
概要 |
アプリケーション・コンティニュイティ |
計画的あるいは予期せぬエラーが発生した際に、リクエストを中断せずに稼働を継続する |
Oracle Fail Safe |
Microsoftクラスタ上にあるデータベースが停止した際に高速かつ自動で予備システムに切り替える |
Oracle Data Guard |
データのコピーを作成してシステム障害時のデータ保護とリストアを行う |
フラッシュバック |
データベースをリストアせずに、一定期間内において過去のある時点のデータを参照または復元する |
一方のSE2では、上記の『Oracle Fail Safe』のみを利用することが可能です。
②スケーラビリティ
スケーラビリティは、システムの負荷や規模の拡大などに伴って柔軟にリソース・機能を拡張できる能力をいいます。
Oracle Databaseにあるスケーラビリティに関する機能は主に3つあり、EEではSE2に備わっていない“サービス品質管理”に関する機能を利用できます。
▼Oracle Databaseに備わっているスケーラビリティに関する機能
機能 |
概要 |
Oracle Real Application Clusters |
複数サーバの稼働で負荷分散を行い、パフォーマンスを拡張する |
自動ワークロード管理 |
データベースの統計情報を自動的に収集・記録して、性能問題の把握とパフォーマンスのチューニングを行う |
サービスの品質管理 |
リソースの使用率や待機時間を監視して、目標値に基づくパフォーマンスの評価・分析を行う |
③パフォーマンス
Oracle DatabaseのEEには、データベースのCPU負荷を軽減してアクセスのレスポンスを改善するための機能を利用できます。
SE2にはないEE特有の機能として、以下が挙げられます。
▼パフォーマンスに関する主な機能
機能 |
概要 |
キャッシュ |
ディスクに格納されたデータのコピーをメモリ領域に保存する |
インメモリ |
問い合わせ時の処理を高速化するデータを指定する |
ゾーン・マップ |
問い合わせ条件に基づいて表内の不要なデータを排除する |
④セキュリティ
セキュリティの強化においても、EEはSE2にはない機能が備わっています。主な機能には、以下が挙げられます。
▼EEで利用できる主なセキュリティ機能
機能 |
概要 |
Oracle Advanced Security |
データベースの暗号化とアクセス制御を行う |
Oracle Label Security |
表内にある行を指定して、特定のユーザーへのデータ表示を制限する |
Oracle Database Vault |
特権ユーザーのアクセスを制御する |
ファイングレイン監査 |
指定した条件のデータに対するアクティビティを監査する |
⑤管理者の支援機能
Oracle Databaseには、データベースの管理者が効率的に運用を行うための支援機能が備わっています。EEには包括的な機能が含まれていますが、SE2はインスタンス・ケージングの機能のみが含まれています。
▼管理者を支援する主な機能
機能 |
概要 |
インスタンス・ケージング |
インスタンスごとにリソースの使用制限を設定して、CPUの割り当てを管理する |
SQL計画の管理 |
SQLの実行計画を管理して処理性能を安定化させる |
Oracle Data Masking and Subsetting |
特定の機密情報を置き換えてデータを保護する、また容量の小さいデータセットを作成してストレージを最小化する |
なお、データベースの運用を効率化するツールについては、こちらの資料をご確認ください。
まとめ
この記事では、Oracle Databaseについて以下の内容を解説しました。
- Oracle Databaseのエディション
- ライセンスの種類
- EEとSE2の機能を比較する際のポイント
Oracle DatabaseのEEとES2のエディションでは、使用できる機能が大きく異なります。すべての機能やオプションを網羅的に利用できるEEに対して、ES2ではデータベースの基本的な機能にとどまります。
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