
クラウドデータベースが持つ4つのメリット。活用できるサービスと移行時の注意点
デジタル技術の進展によってクラウドサービスが広く普及するなか、企業の情報基盤となるデータベースにおいても、オンプレミス環境からクラウド環境への移行を選択する企業も見られています。
クラウド環境に構築されたクラウドデータベースは、保守運用コストの削減やユーザー側の利便性向上、可用性の確保などのさまざまなメリットが期待されます。
この記事では、クラウドデータベースの仕組みやメリット、代表的なサービス、移行を進める際の注意点について解説します。
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目次[非表示]
- 1.クラウドデータベース(クラウドDB)とは
- 2.データベースをクラウドに移行するメリット
- 2.1.➀保守運用コストの削減
- 2.2.②アクセス性・検索性の向上
- 2.3.③可用性の向上
- 2.4.④スケーラビリティ(拡張性)の向上
- 3.クラウドデータベースの代表的なサービス
- 4.データベースのクラウド移行を進める際の注意点
- 5.まとめ
クラウドデータベース(クラウドDB)とは
クラウドデータベース(クラウドDB)とは、クラウド上に構築されたパブリック環境でデータベースを利用するサービスです。
従来のオンプレミス型では、自社でサーバ・ストレージ・ネットワーク機器などを準備して、社内ネットワークを経由してアクセスする仕組みとなります。
これに対してクラウドデータベースは、環境構築に必要なITリソースがクラウド上に設置されているため、インターネットを介してアクセスすることが可能です。
▼データベースの構築環境による違い
オンプレミス |
クラウド |
|
サーバの設置場所 |
自社内 |
インターネット上 |
アクセス方法 |
社内ネットワークのみ |
インターネット経由 |
運用管理者 |
自社 |
クラウド事業者 |
クラウドデータベースは、オンプレミス型の課題とされている環境構築の初期コストや運用管理の負担などを削減する構築手法として注目されています。
なお、データベースの運用についてはこちらの記事をご確認ください。
データベースをクラウドに移行するメリット
データベースをクラウドに移行することで、情報システム部門(以下、情シス)による業務負担を軽減して柔軟かつ効率的な運用管理が可能になるほか、ユーザーの利便性向上も期待されます。
➀保守運用コストの削減
クラウドデータベースに移行すると、保守運用コストの削減につながります。
データベースを運用するためのITリソースがインターネット上に構築されているため、自社でハードウェアの設置やOS・ソフトウェアのインストールを行う必要がありません。
サービスの保守はクラウド事業者に任せられるほか、システム運用を効率化する各種機能が提供されており、情シスの管理工数と人的コストの削減を図れます。
②アクセス性・検索性の向上
ユーザーのアクセス性・検索性が向上することもメリットの一つです。
オンプレミス型の運用では、データベースを利用する際に端末へソフトウェアをインストールして、社内ネットワークに接続する必要がありました。
クラウドへ移行することで、インターネット環境があれば社外にある端末からでもデータベースを利用できます。業務や営業活動に必要なデータをすぐに検索・確認・保存できるようになると、情報共有の円滑化、生産性の向上につながると期待されます。
③可用性の向上
物理的なハードウェアの設置を必要としないクラウドデータベースは、システムの可用性を向上させることが可能です。
オンプレミス型の場合では、自然災害や経年劣化などによる障害が発生した際に稼働が停止したり、データが破損・消失したりするリスクがあります。
クラウド環境へ移行すると、自然災害やハードウェアの故障などを原因とした障害の影響を受けにくくなり、運用を継続することが可能です。
また、クラウドデータベースのサーバをインターネット上に分散配置することにより、トラブルが発生した際にサービスが停止するリスクも低減できます。
④スケーラビリティ(拡張性)の向上
クラウドデータベースには、事業規模の変化やユーザー数の増減が必要になった際に、柔軟にリソースを調整できるメリットがあります。
オンプレミス型の場合では、容量の追加や処理能力の向上を行うためにハードウェアの増設が必要になり、コスト・工数の負担がかかります。
クラウドへ移行すると、スケールアップでCPU・メモリなどのリソースを拡張したり、スケールアウトで処理性能を向上させたりすることが可能です。リソースを最適化させることにより、パフォーマンスの維持・向上と運用コストの削減につながります。
クラウドデータベースの代表的なサービス
さまざまな企業で導入されている代表的なクラウドデータベースのサービスには、以下が挙げられます。
▼クラウドデータベースの代表的なサービス
サービス |
概要 |
Amazon RDS
(Amazon Relational Database Service)
|
Amazonのクラウドサービスプラットフォーム『AWS(Amazon Web Services)』に構築するリレーショナル型のデータベースサービス |
Azure SQL Database |
Microsoftが提供しているクラウド上に構築するリレーショナル型のデータベースサービス |
Google Cloud SQL |
Googleが提供しているクラウド上に構築するリレーショナル型のデータベースサービス |
リレーショナル型のデータベース(RDB)は、データを列・行で構成された表形式(テーブル)で格納・管理する形式を指します。相互に関連するデータを紐づけた直感的で分かりやすい形式となり、多種多様な情報の管理に用いられています。
また、上記に挙げた3つのサービスでは、サーバやOSの管理、データのバックアップ、パッチの適用などが自動で行われるため、情シスによる運用管理の効率化を図ることが可能です。
AWSの運用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
データベースのクラウド移行を進める際の注意点
オンプレミス環境からクラウド環境へデータベースを移行する際には、以下の注意点を抑えておく必要があります。
▼クラウド移行の注意点
- システムに応じたデータベース移行方式の検討
- ダウンタイムを考慮した移行スケジュールの策定
- 移行段階のデータ損失を防ぐバックアップの実施 など
現在のシステムに保存されたデータの内容や容量、求める性能要件などを踏まえて、移行方式を決定します。「データの全部または部分移行を行うか」「移行後のソースデータは削除または保持するか」などを検討することが必要です。
また、移行後のデータベースにおける運用設計や動作検証などが必要になるため、ダウンタイムを踏まえた移行スケジュールの策定が求められます。
さらに、データベースの移行段階で不具合が生じた場合のデータ消失に備えて、事前にバックアップを取得することも欠かせません。
まとめ
この記事では、クラウドデータベースについて以下の内容を解説しました。
- クラウドデータベースの仕組み
- データベースをクラウドに移行するメリット
- クラウドデータベースの代表的なサービス
- データベースのクラウド移行を進める際の注意点
企業の重要な情報を集約したデータベースをクラウドに移行することで、保守運用にかかる工数・コストの削減を図れるほか、柔軟かつ安定したシステム運用が可能になります。
クラウドへの移行を進める際は、自社のシステム状況に応じたデータ移行方式の選定に加えて、ダウンタイムを考慮した移行スケジュールの策定、事前のバックアップなどが必要です。
日本エクセムでは、データベースの設計から構築、移行に至るまでのプロセスを一貫してサポートしています。オンプレミスからクラウド環境への移行やハイブリッド環境の構築などもお任せください。
詳しいサービス内容は、こちらの資料からご確認いただけます。