
【2026年最新】オブザーバビリティツール比較5選|導入を失敗しないための5つの比較ポイントとは
「システムで異常が発生したが、原因の特定に数時間かかってしまった」
「マイクロサービス化によって、どこでエラーが起きているのか把握できない」
エンジニアやIT部門責任者にとって「オブザーバビリティ(可観測性)」の実現は、もはや避けられない重要課題となっています。
2026年を迎えた今、クラウドネイティブ環境は一層の複雑性を増し、旧来型の「監視(Monitoring)」では対処しきれない「予測不能な障害」が事業継続上の深刻なリスクとして浮上しています。ただし、市場にはDatadogやNew Relic、日本発のexemONEといった多様なソリューションが乱立しており「自組織に真にフィットする選択肢はどれなのか」という判断に迷われている担当者も少なくないはずです。
本稿では、オブザーバビリティが求められる時代背景を整理したうえで、導入時の失敗を回避するための「5つの判断基準」を詳細に解説します。加えて、主要な5つのツールについて、費用・機能性・サポート体制の観点から比較しているのでぜひ参考にしてください。
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目次[非表示]
- 1.なぜ今、監視ではなくオブザーバビリティが必要なのか
- 1.1.マイクロサービス・クラウドネイティブ化がもたらした「未知の障害」
- 1.2.監視とオブザーバビリティの決定的な違い:メトリクス、ログ、トレースの相関
- 1.3.オブザーバビリティ導入で得られるビジネスインパクト
- 2.自社に最適なオブザーバビリティツールを選ぶ5つの比較ポイント
- 2.1.データの網羅性と統合性:サイロ化されたデータを一箇所で見れるか
- 2.2.分析の容易さ:異常検知や原因特定の精度
- 2.3.既存環境(クラウド/オンプレミス)との親和性とエージェントの負荷
- 2.4.コスト体系の透明性:データ量増加に伴う課金体系の予測可能性
- 2.5.サポート体制:日本語ドキュメントの充実と国内サポートの有無
- 3.主要オブザーバビリティツール比較
- 3.1.exemONE
- 3.2.Datadog
- 3.3.New Relic
- 3.4.Grafana
- 3.5.Prometheus
- 4.まとめ
なぜ今、監視ではなくオブザーバビリティが必要なのか
デジタルビジネスの基盤がオンプレミスからクラウドネイティブへと移行する中で、従来型の「監視」だけではシステムの健全性を維持することが困難になっています。従来の監視は「既知の事象」を検知することに長けていますが、現在の複雑化した環境では「何が起きているか予測できない」事態が頻発するためです。
本セクションでは、なぜ現代のシステム運用においてオブザーバビリティが不可欠なのか、背景とビジネスにもたらす具体的なメリットを解説します。
マイクロサービス・クラウドネイティブ化がもたらした「未知の障害」
現代のシステムは、数百・数千のマイクロサービスが複雑に連携し合う分散システムへと進化しました。単一のサーバーダウンといった「予測可能な障害」ではなく、複数のサービス間でのレイテンシ増加や特定の条件のみで発生する「未知の障害」が急増しています。
従来のインフラ監視ツールでは個々のリソース状態は把握できても、リクエストがサービス間をどう遷移し、どこでボトルネックが発生しているかという全体像を捉えきれません。ブラックボックス化した環境において、内部状態を外部から推測可能にするオブザーバビリティの重要性が高まっているのです。
監視とオブザーバビリティの決定的な違い:メトリクス、ログ、トレースの相関
監視とオブザーバビリティは混同されがちですが、役割は明確に異なります。監視が「システムが正常に動いているか」という「状態」を知らせるものであるのに対し、オブザーバビリティは「なぜ異常が起きているのか」という「理由」を解明するための能力です。
オブザーバビリティを実現するためには、以下の「テレメトリデータ(Telemetry Data)」の3本柱を相関的に分析することが不可欠です。
メトリクス(Metrics):CPU使用率やエラー率などの数値データ。異常の発生を素早く検知する
ログ(Logs):特定の時刻に発生したイベントの記録。詳細なコンテキストを提供する
分散トレース(Traces):リクエストがサービスを横断する経路の記録。ボトルネックの箇所を特定する
上記3つが統合されていない環境では、エンジニアは複数のツールを行き来してデータを突き合わせる「人間による手動連携」を強いられ、対応が遅れる原因となります。
オブザーバビリティ導入で得られるビジネスインパクト
オブザーバビリティの向上は運用の効率化に留まらず、ビジネスの収益性に直結します。最大の効果は、平均復旧時間(MTTR:Mean Time To Recovery)の劇的な短縮です。原因特定のスピードが上がることで、ダウンタイムによる機会損失を最小限に抑えられます。
また、開発者がトラブルシューティングに費やす時間を削減できるため、新規機能の開発やサービス改善という「攻めのIT」に充てることが可能です。
システムの安定性がユーザー体験(UX)の向上を支え、最終的には顧客満足度とリピート率の向上というポジティブなサイクルを生み出します。
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自社に最適なオブザーバビリティツールを選ぶ5つの比較ポイント
市場には数多くのオブザーバビリティツールが存在しますが、機能の豊富さだけで選ぶと「コストの肥大化」や「現場での形骸化」を招く恐れがあります。自社のインフラ規模やチームのスキルセット、そして将来の拡張性を考慮した選定基準が必要です。
ここでは、導入後に後悔しないために必ずチェックすべき5つの比較ポイントを解説します。
データの網羅性と統合性:サイロ化されたデータを一箇所で見れるか
オブザーバビリティツール選定で重要なポイントは、インフラからアプリケーション層、エンドユーザーの挙動まで、すべてのデータを一元的に可視化できるかです。以下の要素が統合されているか、事前に確認してください。
フルスタックの可視化:インフラ、DB、ネットワーク、アプリ、フロントエンドのを統合しているか
オープン標準への対応:OpenTelemetryなどの共通規格をサポートし、ベンダーロックインを回避できるか
コンテキストの保持:ログからトレースへ、メトリクスからログへ、1クリックで関連データへ遷移できるUIか
ツールごとにデータが「サイロ化(分断)」されていると、相関関係の分析に時間がかかり、オブザーバビリティの価値が半減してしまいます。
分析の容易さ:異常検知や原因特定の精度
データの収集量が増えるほど、人間がすべてのログを監視するのは不可能になります。そこで重要になるのが、AIや機械学習を活用した「AIOps」機能です。
機能 | 期待される効果 |
ベースライン自動生成 | 通常の状態を学習し、異常な逸脱のみを自動で通知する |
根本原因分析(RCA) | 多数のアラートの中から、真の障害原因となっている箇所を特定・提示する |
トポロジーマップ | サービス間の依存関係を自動で可視化し、影響範囲を即座に把握する |
いかに精度高く「ノイズ」を排除し、優先度の高い問題に集中できる環境を作れるかが、運用の成否を分けるポイントです。
既存環境(クラウド/オンプレミス)との親和性とエージェントの負荷
自社のシステム構成に基づき、以下の適応性を評価する必要があります。
マルチクラウド対応:AWS・Azure・GCPなどの主要クラウドサービスとのネイティブな統合
ハイブリッド環境:オンプレミスサーバーやレガシーシステムからのデータ収集能力
エージェントの軽量性:
低負荷:CPUやメモリの消費が最小限であること(オーバーヘッドの抑制)
デプロイの容易さ:Kubernetes環境でのサイドカー導入や自動注入の可否
リソース消費が激しいツールは、アプリケーションのパフォーマンスを低下させる本末転倒な結果を招くため、慎重な検証が求められます。
コスト体系の透明性:データ量増加に伴う課金体系の予測可能性
オブザーバビリティツールの導入で多くの企業が直面する壁が、予測不可能なコストの増加です。課金モデルには、主に2つのタイプがあります。
データ量課金:取り込んだログやメトリクスの量に応じて課金(障害時にログが急増し、請求額が跳ね上がるリスクがある)
ユーザー/ホスト課金:利用するエンジニア数や監視対象のサーバー数に応じて固定(データ量を気にせず収集できるが、規模拡大時にコストが増大する)
データのサンプリング設定(すべてのデータではなく一部を抽出して分析する機能)が可能か、予算超過を防ぐガードレール機能があるかを確認し、中長期的なコストシミュレーションを行うことが不可欠です。
サポート体制:日本語ドキュメントの充実と国内サポートの有無
高度な設定やトラブル時の対応には専門知識を要するため、以下のサポート要素は運用の継続性に大きく関わります。
言語対応:公式ドキュメントの日本語化、管理画面が日本語に対応しているか。
テクニカルサポート:日本国内に拠点があり、日本語で技術的な問い合わせが可能か
コミュニティ/事例:国内での導入事例が多く、知見が共有されているか
特にエンタープライズ環境では、時差なく日本語で相談できる窓口の有無が、有事の際のスピード感に直結します。
主要オブザーバビリティツール比較
ここからは、2026年現在の市場で高く評価されている主要なオブザーバビリティツールを厳選して5つ紹介します。
exemONE

exemONEは、日本国内のエンタープライズ環境にも最適化されたフルスタック・オブザーバビリティソリューションです。
最大の強みは定評のあるデータベースパフォーマンス分析(DBM)を軸にインフラからアプリケーションまでを一気通貫で監視できる点にあります。また、日本語による手厚いサポート体制が整っているため、海外製ツールのサポート面に不安を感じている企業や初めてオブザーバビリティを導入する組織に適しています。
Datadog

Datadogは、クラウドネイティブ環境における世界的なリーダーです。1,000以上のインテグレーションにより導入した日から高度な可視化を実現します。洗練されたダッシュボードとメトリクス・ログ・トレースの強力な紐付け機能が特徴で、セキュリティ監視やネットワーク監視も一つのプラットフォームで完結できます。ただし機能が豊富な反面、データ量の増加に伴うコスト管理には専門的な知見が必要です。
New Relic

New Relicは、アプリケーション層に強みを持つプラットフォームです。フロントエンドからバックエンドまで、ユーザー体験を詳細にトラッキングでき、特にブラウザ監視が強力でWebサービスの品質改善に直結します。
ユーザー中心の課金モデルを採用しており、コストの予測可能性が高い点も特徴です。アプリケーションのパフォーマンスがビジネス成果に直結するWebサービス企業に適しています。
Grafana

Grafanaはオープンソースから発展した可視化ツールであり、特定のベンダーに縛られず、自由なカスタマイズを好むチームに選ばれています。
最大の強みは、SQLやPrometheus、AWSなど、多種多様なデータソースを一つの画面に統合できる柔軟性にあります。OSS版を利用すればライセンスコストを抑えられるという大きなメリットがある一方で、ダッシュボードの構築からデータの収集設定、基盤の維持管理まですべてを自前で行う必要があります。そのため、ツールを使いこなし安定運用させるためには、設定や管理に精通したスペシャリストの存在が不可欠です。
Prometheus

Prometheusは、コンテナの動的な変化に強く、プル型(引き抜き型)のデータ収集でスケーラビリティを確保します。Grafanaとの親和性が極めて高く、セットでの運用が一般的です。コンテナ・マイクロサービス中心のインフラを、低コストかつ標準的な手法で構築したいエンジニアに適しています。
まとめ
オブザーバビリティの導入は、複雑化する現代のITシステムにおいて、サービスの信頼性と開発者の生産性を守るための戦略です。単なるツール導入に留めず「なぜ異常が起きているのか」を誰でも即座に特定できる文化を作ることが重要です。
まずは課題の明確化:自社にとってのボトルネックが「原因特定スピード」なのか「コスト」なのかを整理する
スモールスタートの推奨:無料トライアルや限定的な環境(PoC)で、エージェントの負荷や操作感を検証する
運用フローへの組み込み:ツールを入れるだけでなく、インシデント対応のワークフローにどう活用するかを設計する
自社に最適なツールを選定し、2026年のビジネス成長を支える強固なシステム基盤を構築してください。
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