
オブザーバビリティとは。重要性が高まる理由と5つの効果
企業が構築するITインフラがハイブリッド環境やクラウドネイティブに変わりつつあるなか、社内システムの構造は複雑化しています。
安定した稼働を実現するには、システム運用管理において“オブザーバビリティ”を確保・向上することが重要とされています。
システム開発や運用管理を担う方は、オブザーバビリティの重要性や得られる効果について理解を深めておくことが大切です。
この記事では、オブザーバビリティの意味や重要性が高まる理由、向上による効果、活用できるツールについて解説します。
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目次[非表示]
- 1.オブザーバビリティとは
- 2.オブザーバビリティの重要性が高まる理由
- 3.オブザーバビリティの向上による効果
- 3.1.➀システム障害の予兆検知
- 3.2.②トラブルシューティングの迅速化
- 3.3.③セキュリティの強化
- 3.4.④UX(ユーザー体験)の向上
- 3.5.⑤システム運用・開発の負担軽減
- 4.データベースのオブザーバビリティを実現する『MaxGauge』
- 5.まとめ
オブザーバビリティとは
オブザーバビリティ(Observability)とは、“可観測性”や“観察する能力”を意味する言葉です。システム運用管理の分野においては、出力されたデータに基づいてシステム内部の状態を可視化したり、問題を推測・分析したりする手法を指します。
従来のシステム運用では監視(モニタリング)が行われてきましたが、オブザーバビリティとは目的や障害発生時の対応に違いがあります。
▼オブザーバビリティと監視の違い
オブザーバビリティ |
監視 |
|
目的 |
障害の発生原因や問題点を特定する |
異常を検知する |
障害への対応 |
原因特定や復旧に必要なデータをあらかじめ収集する |
異常の検知後に必要な情報を収集する |
従来の監視(モニタリング)では、システムの動作やリソースの使用状況をリアルタイムに確認して異常を検知します。しかし、障害発生後に原因を特定するための必要な情報が不足しており手作業によるデータ収集が必要になるため、復旧までに工数・時間がかかる問題があります。
これに対してオブザーバビリティは、システムに関するデータを収集・記録しておき、障害の発生原因を分析したり、将来に発生し得る問題を予測したりすることが可能です。障害発生後の原因解明・解決までのプロセスを迅速に行えることが、監視と大きく異なる点といえます。
オブザーバビリティの重要性が高まる理由
オブザーバビリティの重要性が高まる理由には、マイクロサービス(※)を活用したクラウドネイティブのシステム構築による内部構造の複雑化があります。
▼システムの内部構造が複雑化することで生じる問題
- 障害が発生した際にほかのアプリケーションへの影響を把握できない
- 単一的なデータのみで障害の根本原因を特定することが難しい など
マイクロサービスで構築したアプリケーションは、それぞれ異なるサーバやデータベースで動作します。システムの構成要素が複雑かつ変化するため、全体像を把握しにくいほか、単一的なデータだけでは障害時の原因特定が難しくなります。
このような複雑なシステムの内部構造を可視化して、障害発生時のデータ分析と問題解決を迅速に行うには、オブザーバビリティの確保・向上が必要です。
※異なる機能を持つ独立したサービスを組み合わせて、1つのアプリケーションを構築する方法
オブザーバビリティの向上による効果
オブザーバビリティの向上によって、システムの安定稼働や運用改善を目指すことが可能です。主な効果には、以下が挙げられます。
➀システム障害の予兆検知
システムを構成するリソースのログやメトリクス(性能情報)などのデータから過去に発生した異常の傾向分析を行うことで、障害の予兆をいち早く検知できます。
▼予兆検知の例
- データベースサーバのCPU使用率から高負荷を検知する
- ネットワークトラフィックの急な変動を検知する など
問題の兆候が見られた段階で迅速な対応を行うことにより、障害を未然に防げるようになり、システム可用性の向上につながります。
②トラブルシューティングの迅速化
システムの包括的なデータ収集と一元管理を行うことで、障害が発生した際にさまざまなデータソースから原因特定に必要な情報を収集して分析を行えます。
エラーが発生した箇所を速やかに把握できるほか、詳細なデータを分析して根本原因を特定することにより、システムの復旧にかかる時間を短縮できます。これにより、業務停止による影響やコスト損失を最小限に抑えられます。
③セキュリティの強化
オブザーバビリティの向上は、セキュリティの強化を図るうえでも有効です。システムのログやトラフィックなどのデータを継続的に監視することにより、正常値から異なる不審な挙動を検知して速やかに対策を行えます。
また、トラブルが発生した場合には、システムのログ・トレースなどのデータを分析して、マルウェアの侵入経路やサイバー攻撃の手法を特定できます。高度な分析が可能になることで、再発防止策につなげられます。
④UX(ユーザー体験)の向上
オブザーバビリティによって得られたデータを基にシステムのパフォーマンスを管理することにより、UX(ユーザー体験)の向上につながります。
システム内部の継続的なデータ観測が可能になると、アクセスの集中による負荷やCPUの使用率などを可視化して、柔軟にリソースの調整を行えます。また、エラーや応答遅延などの発生傾向と原因を分析して改善を図ることで、オペレーションの向上につながります。
⑤システム運用・開発の負担軽減
複雑化したシステムの構成を可視化してあらゆるデータの相関関係を把握できるようになると、障害の調査・特定のために手探りでデータを見つける時間・労力を削減することが可能です。
また、デプロイを実施したあとにシステムの挙動を監視して、パフォーマンスの状態や問題点を定量的に把握することで、開発サイクルの高速化を図れます。これにより、システムの迅速なリリースと安定性の向上につながります。
データベースのオブザーバビリティを実現する『MaxGauge』
『MaxGauge』は、データベースやアプリケーションサーバ、OSなどの基盤レイヤーの稼働情報を網羅的に収集して可視化するツールです。
※MaxGaugeでデータベースをリアルタイム分析したダッシュボード
多岐にわたるデータを自動で収集して、複雑化したシステムの内部構造を可視化することにより、障害やパフォーマンス低下などのトラブルが発生した際の情報収集と原因特定をスピーディーに行えるようになります。
▼MaxGaugeで行えること
- システム内部の詳細なデータをリアルタイムで自動収集・可視化する
- 動作やパフォーマンスの監視によって障害の予兆を検知する
- 事象とデータの相関関係を分析して問題の特定と原因の切り分けを行う
- 過去の蓄積データから負荷や障害の傾向分析を行い予防策を実施する など
データベースのオブザーバビリティを実現することにより、システム運用管理における大幅な工数削減と可用性の向上に貢献します。
製品の詳しい情報についてはこちらの資料をご確認ください。
まとめ
この記事では、オブザーバビリティについて以下の内容を解説しました。
- オブザーバビリティの概要
- オブザーバビリティの重要性が高まる理由
- オブザーバビリティの向上による効果
- データベースのオブザーバビリティを実現するツール
アプリケーションやデータベースが多岐にわたり構造が複雑化しているシステムの運用では、全体像の把握が難しくなります。従来の監視による単一的なデータ収集では、障害発生時の調査や原因特定に多くの工数・時間を要してしまいます。
問題の迅速な解決と安定的な稼働を実現するには、システムの包括的かつ詳細なデータを収集して可視化できるオブサーバビリティを実現することが重要です。
『MaxGauge』は、データベースやアプリケーションサーバを利用したシステムの内部情報を自動で収集して可視化・分析を行えるツールです。基盤レイヤーにおけるオブザーバビリティの向上により、トラブル対応の迅速化と効率的な改善サイクルを実現できます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。