
Oracle Exadataとは。Oracle Databaseを利用した統合データベース基盤に最適
企業の基幹システムやWebサービスでは、多様なデータベース基盤が利用されています。そのなかでも『Oracle Database』は、長年にわたり多くの企業で採用されてきたORACLE社の代表的な製品です。
本記事では、その基盤を最適化するためのソリューションである『Oracle Exadata』 の概要や特徴、構成・提供形態を整理し、データベース環境の刷新を検討するIT担当者やエンジニアに役立つ情報を提供します。
ORACLE社および代表的なデータベース製品「Oracle Database」についてはこちらの記事でご確認いただけます。
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Oracle Exadataとは
Oracle Exadataは、Oracle Databaseのパフォーマンスや可用性、セキュリティを最大限に引き出すために設計された、ハードウェアとソフトウェアが一体となった統合型データベースプラットフォームです。
従来の汎用サーバーとは異なり、データベース処理に特化した専用設計により、トランザクション処理、分析処理、AIベクトル検索などの幅広いワークロードを高速かつ効率的に実行できます。
また、Exadataはオンプレミス環境だけでなく、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)やマルチクラウド環境などにも展開が可能です。これにより、企業はIT管理の負担を軽減しつつ、コスト削減と運用効率の向上を実現できます。
なお、Exadataは複数の専用コンポーネントで構成されており、それぞれがデータベース処理の最適化に特化しています。
▼Oracle Exadataの構成
コンポーネント | 主な役割 |
データベースサーバー |
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ストレージサーバー |
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高速ネットワーク | InfiniBand / RoCEを利用し、RDMAによる低遅延通信を実現 |
専用ソフトウェア | Smart Scan、Hybrid Columnar Compression、AI Vector Searchオフロード機能などを搭載 |
Exadataはクオーターラック構成から導入可能で、必要に応じてスケールアウトできます。さらに、マルチラック構成により、より大規模なワークロードや高負荷環境にも柔軟に対応可能です。
Oracle DatabaseのEEとSE2の比較についてはこちらをご覧ください。
Oracle Exadataの提供形態
Oracle Exadataは、オンプレミスとクラウドの両方で利用可能な柔軟なデータベース基盤です。
オンプレミス型は、自社データセンターに物理的に設置して運用する形態であり、セキュリティ要件や高度なカスタマイズ性を重視する企業に適しています。
一方で、クラウド型はOracle Cloud Infrastructure(OCI)上で提供され、初期投資を抑えつつ、必要に応じてリソースを柔軟に拡張できるのが特徴です。
さらに、クラウド型には専有型・共有型・オンプレミス設置型のクラウドサービス(Cloud@Customer)など、多様なラインナップが用意されており、運用方針や規制要件に応じて最適な形態を選択できます。
クラウドとオンプレミス間ではOracle Databaseの完全な互換性が確保されており、システム移行やハイブリッド構成もシームレスに実現可能です。
▼Oracle Exadataの提供形態と特徴
提供形態 | サービス名 | 略称 | 特徴 |
パブリッククラウド | Oracle Exadata Database Service on Exascale Infrastructure | ExaDB-XS |
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パブリッククラウド(専有型) | Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure | ExaDB-D |
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プライベートクラウド | Oracle Exadata Database Service on Cloud@Customer | ExaDB-C@C |
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オンプレミス | Oracle Exadata Database Machine | - |
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Oracle Exadataの特徴
Oracle Exadataは、他のデータベース基盤と比較して、パフォーマンス・拡張性・互換性・効率性において際立った特徴を持っています。
主な特徴は、以下のとおりです。
あらゆるOracle Databaseワークロードを統合的に実行可能(OLTP、分析、AI Vector Search など)
大規模データを超高速に処理する専用ストレージ機能とネットワーク設計
クラウドとオンプレミス間で100%の互換性を確保
スケールアウト設計による柔軟な拡張性とリソース管理
高可用性・冗長性の確保(RACや自動障害復旧)
Oracle Exadataにより、企業はIT管理の負荷を軽減しつつ、運用効率の最大化とコスト削減を同時に実現できます。
Oracle Databaseワークロードの統合
Oracle Exadataは、従来分散されていた多様なワークロードを1つのプラットフォームに統合します。
OLTP(トランザクション処理)
DWH(データウェアハウス)
高度な分析処理
AI Vector Searchによる新世代アプリケーション
複数のシステムを個別に管理する必要がなくなり、運用コストや管理負担を削減可能です。また、ワークロードごとに最適化されたリソース配分が可能なため、システム全体のパフォーマンスを最大化できます。
大容量データの高速な転送・処理
Oracle Exadataの強みは、ストレージ層での分散処理にあります。
Smart Scanやストレージ・インデックスによって、不要データの転送を回避し、大容量データ処理の効率を向上させます。
Smart Scan:SQL処理をストレージ層にオフロード
Hybrid Columnar Compression:高圧縮によるI/O削減とコスト削減
ストレージ・インデックス:不要ブロックのスキップでI/O効率化
高性能ネットワーク(InfiniBand/RoCE):低遅延・大容量通信
クラウド・オンプレミス環境の互換性
Oracle Exadataは、オンプレミスとOCIを含むクラウド環境で同一のアーキテクチャと機能を提供しています。
そのため、アプリケーションの改修なしに移行やハイブリッド構成が可能で、クラウド移行時のリスクとコストを最小化します。
環境 | 提供内容 |
オンプレミス | 高性能・高可用性を備えた専用システム |
OCI(クラウド) | 同一アーキテクチャ、容易な移行 |
マルチクラウド | AWS/Azure/Google Cloudでも同等性能を提供 |
スケーラブルな設計による柔軟なリソース管理
Oracle Exadataは、システムの規模や用途に応じて柔軟にリソースを拡張できるスケーラブルな設計が特徴です。
スケールアウト構成を採用しており、成長や需要に合わせてサーバーやストレージを段階的に追加できます。
ノード単位の拡張性:データベースサーバーやストレージを柔軟に追加
リソース管理機能:優先度制御による公平なリソース配分
Capacity-on-Demand:使用するCPUコア数だけをライセンス対象にできる柔軟性
将来的な拡張性:ビジネス成長に合わせて無停止でスケール可能
まとめ
この記事では、Oracle Exadataについて以下の内容を解説しました。
Oracle Exadataの概要
提供形態(オンプレミス、クラウド、Cloud@Customer など)
- 特徴(ワークロード統合、高速データ処理、クラウド/オンプレミス互換性、スケーラブル設計)
Oracle Exadataは、Oracle Databaseの性能を最大限に引き出すために設計された統合型プラットフォームです。
専用ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって、高速性・可用性・拡張性を兼ね備え、オンプレミスとクラウドの両環境で柔軟に活用できます。
今後のデータ活用やシステム拡張を見据えた基盤選定において、非常に有力な選択肢といえるでしょう。
『日本エクセム』では、オンプレミスからクラウドへの設計・構築・移行を含めたサービスを提供し、企業のデータベース基盤刷新を一貫してサポートしています。システム要件やデータ特性に応じた最適な移行計画や、安定した運用を支える仕組みづくりもお任せください。
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