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PostgreSQLのチューニングでパフォーマンスの改善を図るポイント

PostgreSQLは、代表的なリレーショナルデータベース管理システムの一つです。

企業の情報基盤となるPostgreSQLのパフォーマンスが低下すると、業務効率が低下して生産性にも影響が及ぶ可能性があります。

データベースの安定したパフォーマンスを維持しつつリソースを効率的に使用するには、稼働状況に応じたチューニングを行い最適化を図ることが必要です。

この記事では、PostgreSQLの運用でパフォーマンスの改善を図るチューニングのポイントや監視ツールの活用について解説します。

なお、PostgreSQLのアーキテクチャやデータベースチューニングの基礎知識については、こちらの記事で解説しています。

目次[非表示]

  1. 1.PostgreSQLのチューニングを実施するポイント
    1. 1.1.①適切なインデックスの付与
    2. 1.2.②クエリの最適化
    3. 1.3.③パーティショニングによるテーブルの分割
    4. 1.4.④設定パラメータの見直し
    5. 1.5.⑤VACUUMとANALYZEの実行
    6. 1.6.⑥トランザクション設定の見直し
  2. 2.PostgreSQLデータベースの高いパフォーマンスを維持するには
  3. 3.まとめ

PostgreSQLのチューニングを実施するポイント

PostgreSQLのチューニングは、システムのパフォーマンスを高めて安定かつ効率的にデータベースを使用するために欠かせないプロセスです。

処理速度の低下やデッドロックによる停止などを防ぐには、ワークロードやリソースの状況に応じてシステムを最適化することが重要となります。

ここからは、PostgreSQLのチューニングを実施するポイントを解説します。

①適切なインデックスの付与

インデックスは、データベース上のデータを効率よく検索する役割を持ちます。

使用されていないインデックスを削除したり、データの種類や検索用途に合わせたインデックスを付与したりすることにより、クエリの速度を向上させられます。

▼PostgreSQLにおけるインデックスの見直し例

インデックスの種類
適しているケース
B-tree
特定の値に一致または範囲内にあるレコードの検索
GIN
配列型や全文検索など、複数の値を含む列の検索
GiST
全文検索やジオメトリデータなど、ツリー構造や複雑なデータ型のインデックス
SP-GiST
広域での検索かつ不均衡のデータ構造

②クエリの最適化

クエリの設計を最適化することにより、データベースの応答速度を向上させられるほか、リソースの効率的な使用につながります。

EXPLAIN ANALYZEのコマンドを使用してクエリの実行計画を分析することにより、パフォーマンスに影響を及ぼしているボトルネックを特定して改善策を検討できます。

▼クエリの最適化を図る手法

  • 非効率・不必要なSQLの記述を修正する
  • JOINを使用してテーブル結合を見直す
  • データの取得にSELECT *を使用せず必要なカラムのみを選択する など

③パーティショニングによるテーブルの分割

パーティショニングは、大規模なテーブルを小さな単位に分割して、データを効率的に管理するための技術です。

テーブルを分割することで、データを取得する際に特定のパーティションのみをスキャンできるようになり、クエリのパフォーマンス向上につながります。

▼PostgreSQLで提供されるパーティションの種類

種類
概要
活用例
範囲パーティション
キー値を期間や一定の範囲で分割する
時系列データを月別・日別に分割
リストパーティション
キー値を任意の値で分割する
地域別や支社別などグループ別に分割

④設定パラメータの見直し

PostgreSQLの設定パラメータは、データベースにおけるリソースの割り当てやディスクI/Oなどを制御する役割を持ちます。

リソースの使用率やディスクI/Oの頻度、データ量などを踏まえて設定パラメータを調整することで、システムのパフォーマンス改善につなげられます。

▼PostgreSQLのチューニングに用いられるパラメータの例

パラメータ
概要
max_connections
PostgreSQLに同時接続が可能な最大数
shared_buffers
キャッシュに使用される共有メモリの容量
work_mem
ソートやハッシュの操作に使用されるメモリの容量
wal_buffers
トランザクションログ(WALレコード)を書き込む前に使用される共有メモリの容量

⑤VACUUMとANALYZEの実行

PostgreSQLのパフォーマンスを安定化させるために、VACUUMとANALYZEを実行することがポイントです。

VACUUMには、トランザクション処理によって発生する不要なディスク領域を再利用できるようにして、ストレージを最適化する役割があります。

▼VACUUMの設定方法

設定
概要
自動VACUUM
不要なデータを自動で削除してディスク領域を解放する
VACUUM FULL
大量のデータ更新・削除が発生した際にテーブル全体のディスク領域をOSに返却する

また、ANALYZEのコマンドは、指定したテーブルの統計情報を収集・更新する役割があります。定期的にANALYZEを実行することで、新しいデータ分布に基づいてクエリの実行計画を見直すことができ、応答速度の改善を図れます。

⑥トランザクション設定の見直し

トランザクションを適切に設定することにより、ロックの競合による処理の遅延・停止を防いでパフォーマンスの向上を図れます。

▼ロックの競合を防ぐためのトランザクション設定の見直し方法

  • ロックの粒度を小さくして並列処理効率を高める
  • ロック待機時間を制御してデッドロックを防ぐ など

※複数のトランザクションによってアクセスするリソースが競合する状態

PostgreSQLデータベースの高いパフォーマンスを維持するには

PostgreSQLの運用では、システムの利用状況やデータ量の増加によってデータベースのパフォーマンスは変化します。安定したパフォーマンスを維持するには、PostgreSQLの動きを監視できるツールの活用が有効です。

データベース監視ツールを活用することで、リソースの使用率やログ、プロセスなどを監視して稼働状況を可視化できるようになります。

▼データベース監視ツールの活用例

  • リアルタイム監視によるパフォーマンス低下の検知
  • セッション情報やSQL情報による負荷・遅延状況の把握と分析

データベースの稼働情報をあらゆる指標データから取得できると、パフォーマンスの低下を招いているボトルネックの分析・特定が可能になり、最適なチューニングにつなげられます。

まとめ

この記事では、PostgreSQLのチューニングについて以下の内容を解説しました。

  • PostgreSQLのチューニングを実施するポイント
  • PostgreSQLのパフォーマンス管理に役立つ監視ツール

PostgreSQLのチューニングによってシステムを最適化することで、データベースのパフォーマンスが最大限に引き出され、業務効率や可用性の向上につながります。

データベース監視ツールを活用すると、データベースの稼働情報を取得してパフォーマンスの状況を可視化できるほか、ボトルネックを分析・特定してチューニングに役立てられます。

日本エクセム』では、PostgreSQLデータベースの稼働情報を取得してパフォーマンスを監視するツール『MaxGauge』を提供しています。データベースチューニングのサービスも実施しているため、ぜひご相談ください。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。


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