
Oracleクラウドにおけるサービスの基本構成。それぞれの用途や特徴とは
クラウドベースでさまざまなリソースを利用できる代表的なサービスに『Oracleクラウド(Oracle Cloud Infrastructure)』があります。
インターネット経由でサーバ・ストレージ・ネットワーク・データベース・アプリケーションなどを利用できる豊富なサービスが提供されており、基幹システムやデータベースをクラウド環境で運用したい企業に導入されています。
この記事では、Oracleクラウドにおけるサービスの基本構成や各サービスの用途、特徴について解説します。
※2025年7月22日時点の情報を基に作成しております。
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目次[非表示]
Oracleクラウドのサービス構成とは
Oracleクラウドでは、IaaS・PaaS・SaaSの領域において2種類のクラウドサービスが提供されています。
【IaaS・PaaS】Oracle Cloud Infrastructure(OCI)
『Oracle Cloud Infrastructure』(以下、OCI)は、IaaS・PaaSの領域が統合されたクラウドサービスです。
IaaSでは、サーバやストレージ、ネットワークなどのITインフラがクラウド上で提供されています。PaaSでは、アプリケーション開発のために必要なデータベース、ミドルウェアなどのプラットフォームが提供されています。
▼OCIで提供されるサービスの内容
カテゴリ | サービス例 |
コンピュート |
Virtual Machines
Bare Metal
Oracle Cloud VMware Solution
|
ストレージ |
Block Volumes
Object Storage
File Storage
Archive Storage
Data Transfer Appliance
|
ネットワーク |
Virtual Cloud Network(VCN)
FastConnect
Network Firewall
Domain Name System(DNS)
Flexible Load Balancers
Service Gateway
Private Endpoint
Dynamic Routing Gateway
|
データベース |
Database Cloud Service
Exadata Cloud Service
Autonomous Database
|
機械学習・AI |
Generative AI(生成AI)
Generative AI Agents(生成AIエージェント)
Code Assist
Data Science
Data Labeling
|
データ分析・BI |
Oracle Analytics Platform
Oracle Fusion
|
アプリケーションの開発・管理 |
DevOps
API Management
APIゲートウェイ
Blockchain Platform
Resource Manager
|
【SaaS】Oracle Cloud Applications
『Oracle Cloud Applications』は、多種多様なSaaSのアプリケーションが提供されているサービスです。業務や事業活動に役立つさまざまなアプリケーションをクラウド環境で利用できます。
▼Oracle Cloud Applicationsで提供されるサービスの内容
カテゴリ | サービス例 |
統合基幹業務システム | Oracle Cloud ERP |
人材管理 | Oracle Cloud HCM |
サプライチェーン管理 | Oracle Cloud SCM |
顧客関係管理 | Oracle Sales |
マーケティング | Oracle Marketing |
カスタマーサービス | Oracle Service |
OCIの特徴
OCIは、Oracle Databaseとの連携したシステム環境を構築できるほか、企業向けのセキュリティとサービス保証を備えていることなどが特徴です。
ほかのクラウドプラットフォームと比較したOCIの主な特徴を解説します。
Oracle Databaseとの親和性の高さ
OCIでは、Oracle Databaseの運用に適したシステム環境が提供されています。
▼Oracle Databaseの運用に関するOCIの特徴
- Oracle DatabasのRACを構築できる
- クラウド基盤でExadataを利用できる など
Oracle Databaseの拡張機能『Oracle RAC』を活用して、複数のサーバを連携させたデータベースシステムを構築できます。これにより、データベース運用の負荷分散と可用性の向上を図れます。
また、オラクル社が提供する統合データベースプラットフォームの『Exadata』がPaaSとして提供されており、リアルタイムなトランザクション処理やデータウェアハウスでの大量データの分析などを行えます。
オンプレミス環境からの移行がスムーズ
オンプレミスのOracle製品をクラウド環境に移行するためのサービスが提供されており、スムーズに移行することが可能です。
特にOracle Databaseを利用している場合には、現在保有しているライセンスをOracleクラウドに持ち込んで利用できる“BYOL(Bring Your Own License) to PaaS”が用意されています。
BYOLの仕組みによって既存のオンプレミス・ライセンスを使用できるため、クラウドへの移行コストを抑えられます。
包括的なセキュリティ対策
OCIには、ITインフラやクラウドデータベース、アプリケーションといった各階層において包括的なセキュリティ設計・機能が組み込まれています。
社内外からの脅威を防御する仕組みや、セキュリティ運用管理を自動化して漏れや・ミスを防ぐ管理機能などを利用することで、安全な運用が可能になります。
▼セキュリティを高めるための設計・機能
- 脅威の検知やセキュリティポリシー適用の自動化
- ネットワーク境界でのファイアウォールの構築
- 脆弱性のスキャン
- データの保護
- アプリケーションへのアクセス制御・管理 など
優れたコストパフォーマンス
OCIのなかでもIaaSのサービスについては、ほかのクラウドサービスと比較してコストパフォーマンスに優れている特徴があります。
▼コストパフォーマンスに優れている点
- リージョンに関係なく同価格での利用が可能
- CPU・メモリの柔軟なカスタマイズによるコストの最適化
- 外部へのデータ転送が10TB/月まで無料 など
特にネットワークトラフィックの料金はほかの製品と比べて安く設定されているため、大量データの転送を行う場合の運用コストを抑えやすくなります。
SLAによるサービス保証
SLA(Service Level Agreement)によるサービス保証が提供されていることも特徴の一つです。SLAは、サービスを提供するベンダーとユーザーの間で締結されるサービス品質に関する合意を指します。
OCIでは、パフォーマンス・管理性・可用性に関するSLAが定義されており、安定したシステムの稼働が保証されています。
SLAの詳細やSLOとの違いについてはこちらの記事をご確認ください。
Oracle Cloud Applicationsの特徴
Oracle Cloud Applicationsは、企業の基幹的な業務をカバーする幅広いアプリケーションが提供されており、現場の用途に合わせた柔軟な活用ができます。
主な特徴には、以下が挙げられます。
SaaSアプリケーションの統合管理が可能
Oracle Cloud Applicationsを利用すると、さまざまな業務に使用するSaaSアプリケーションを統合管理することが可能です。
アプリケーションをまたいだデータの連携や反復的なワークフローを自動化できるため、部署間での円滑な情報共有と業務プロセスの効率化を図れます。
ワークフロー内でのAI機能の活用
生成AIやAIエージェントの機能が組み込まれていることも特徴の一つです。
アプリケーションを利用する際に、ユーザーが入力した指示に沿ってコンテンツの生成や自律的なタスクの実行が可能になります。これにより、バックオフィス業務や分析作業の効率化につなげられます。
▼AI機能によって効率化できる業務の例
- 文字の認識によるデータの自動入力
- データの照合・修正
- データ分析に基づくレポートの作成や将来予測 など
まとめ
この記事では、Oracleクラウドについて以下の内容を解説しました。
- Oracleクラウドのサービス構成
- OCIの特徴
- Oracle Cloud Applicationsの特徴
Oracleクラウドは、IaaS・PaaS領域のサービスを提供するプラットフォーム『OCI』と、SaaS領域で業務アプリケーションを提供する『Oracle Cloud Applications』で構成されています。
クラウドベースのITインフラや開発環境、基幹システムまで包括的にカバーされているため、企業のシステム環境や用途に合わせて選択することがポイントです。
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