
データベース(DB)は企業の情報基盤。RDBMSとNoSQLの違い
企業が保有する膨大な情報資産を管理するデータベース(DB)には、さまざまな種類があります。近年では、取り扱うデータの種類や構造、形式などが異なる多種多様なデータベースが登場しています。
企業の目的・用途に合わせてデータベースを選択することで、効率的な運用管理と情報資産の効果的な活用につながります。
この記事では、企業に活用されているデータベースの主な種類や特徴、近年登場しているデータベースについて解説します。
データベースの運用や可視化については、こちらの記事をご確認ください。
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目次[非表示]
企業に活用されているデータベースの種類
現在主流とされているデータベースには、リレーショナルデータベース(RDB)と、RDB以外を指すNoSQLと呼ばれるものがあります。
①リレーショナルデータベース(RDB)
リレーショナルデータベース(以下、RDB)は、データを表形式で管理するデータベースです。現在もっとも主流なデータベースとして広く活用されています。
“テーブル”と呼ばれる表形式の構造となっており、列(フィールド)にはデータの属性、行(レコード)には特定のデータを入力します。データは行単位で管理して、SQLを用いて検索・追加・更新・削除の操作を行う設計となります。
複数のテーブルを作成してデータを管理することで、各テーブル同士を相互に連携して関連性のあるデータを取得したり、データ間の整合性を維持しながら処理を行ったりできることが特徴です。
▼RDBの特徴
項目 |
特徴 |
スキーマの設計 |
データベースで扱うデータの構造や要件を定義する必要があり、表形式のテーブルに固定される |
データ構造 |
構造化データを行と列の表形式で管理する |
処理性能 |
複数の操作を一つの処理単位として扱う“トランザクション処理”により、データの整合性・一貫性を維持できる |
処理速度 |
1台のサーバで運用するため、データ容量が大きい場合は処理速度が遅くなる可能性がある |
検索精度 |
SQLの利用によって複雑な条件検索を行えるため、正確なデータの抽出が可能になる |
RDBでは、トランザクション処理やSQLの利用によって複雑かつ高度なデータ処理が可能になる一方、データが大容量になる場合には処理パフォーマンスが低下する可能性があります。
なお、SQLを用いてRDBを効率的に管理するシステムとして、“リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)”があります。代表的な製品には、以下が挙げられます。
▼代表的なRDBMS製品
- Oracle Database
- MySQL
- PostgreSQL
- SQL Server など
②NoSQL(RDB以外のデータベース)
NoSQL(Not Only SQL)は、SQLを使用しないデータベースです。膨大かつ多様なデータを管理できるため、RDBの弱点とされていた“データ構造の制約”や“処理速度”などをカバーする目的で活用されています。
NoSQLでは、データの構造をあらかじめ定義する必要がないスキーマレスとなっており、非構造化データや新たなデータ形式も柔軟に管理できることが特徴です。
▼NoSQLの特徴
項目 |
特徴 |
スキーマの設計 |
スキーマの設計が不要で、固定されたテーブルがない |
データ構造 |
非構造化データや関連性のないデータなど、さまざまな種類・形式のデータを格納できる |
処理性能 |
トランザクション処理を行わず、データの格納・参照を高速で行う性能を持つ |
処理速度 |
複数のサーバで負荷を分散させて、膨大なデータの高速処理を行える |
検索精度 |
データ構造が定義されないため、高度な検索が難しい |
NoSQLは、多種多様なデータの管理や高速処理を行えますが、RDBで可能なSQLでの操作やトランザクション処理に対応していません。そのため、複雑なクエリの実行やデータの整合性・一貫性の維持は難しくなります。
また、NoSQLのデータベースには、データ構造や管理方法が異なる複数の種類があります。以下では、一般的なデータモデルと代表的な製品について取り上げます。
キーバリュー型
キーバリュー型は、データを識別する“キー(Key)”と関連する値を表す“バリュー(Value)”がセットになって構成されるシンプルなデータモデルです。高速処理と高い拡張性を備えていますが、複雑なデータの管理は難しくなります。
▼キーバリュー型の代表的な製品
- Amazon DynamoDB
- Redis など
カラム型
カラム型は、キーバリュー型の“バリュー”に当たる値に列(カラム)を追加したデータモデルです。個々のデータを列ごとに独立させて管理することにより、特定の列を抜き出して一括処理や集計を行えるようになります。
▼カラム型の代表的な製品
- Cassandra
- HBase
- ScyllaDB など
グラフ型
グラフ型は、ノード・エッジ・プロパティといった3つの要素でデータ間の関係性を示すデータモデルです。
▼グラフ型の構成要素
要素 |
概要 |
ノード |
データの種別 |
エッジ |
ノード間の関係性 |
プロパティ |
ノードに含まれる属性データ |
相互に関連する複数のデータを管理できるため、キーバリュー型やカラム型よりも検索性に優れています。
▼グラフ型の代表的な製品
- Amazon Neptune
- ArangoDB
- Neo4j
- OrientDB など
ドキュメント型
ドキュメント型は、データを識別するキーと、JSONやXMLなどのドキュメントがセットになって構成されるデータモデルです。ドキュメント形式での管理によって、複雑なデータ構造をそのまま扱えるようになります。
▼ドキュメント型の代表的な製品
- MongoDB
- CouchDB
- RavenDB など
目的に応じて活用される多種多様なデータベースも登場
近年では、RDBとNoSQLのほかにも、目的に応じて活用される多種多様なデータベースが登場しています。
▼多種多様なデータベース
種類 |
概要 |
インメモリデータベース |
データをコンピュータ内のメモリに管理するデータベース。ディスクベースの管理と比べて、高速処理・リアルタイム応答が可能。 |
ベクトルデータベース |
データを数値に変換したベクトルデータを管理するデータベース。AIモデルの学習や自然言語処理に用いる膨大なデータを管理できる。 |
オブジェクト指向データベース(OODB) |
オブジェクト指向のプログラミング言語を使用するデータベース。異なる形式のデータ群や複雑に関連したデータを管理できる。 |
DWH用データベース |
膨大かつ多種多様なデータを管理して分析に活用できるデータベース。時系列や目的別でのデータの抽出が可能。 |
企業が情報資産を効果的に活用するためには、取り扱うデータの種類や目的、規模などに応じてデータベースを選択することがポイントです。
まとめ
この記事では、データベースの種類について以下の内容を解説しました。
- データベースの種類
- 近年登場している多種多様なデータベース
現在主流とされているRDBは、複雑で高度なデータ処理やデータの整合性の維持を得意としています。NoSQLは、スキーマレスで柔軟なデータ構造に対応しており、高速処理とパフォーマンスの維持を得意としています。
また、近年では多種多様なデータベースの登場により、目的やニーズに合わせて選択することが可能となっています。
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